義経

新装版 義経 (上) (文春文庫)

新装版 義経 (上) (文春文庫)

大河ドラマのせいか本屋さんの店頭に並んでいたので、たまには日本史物でも読んでみるか、ということで読んでました。大河ドラマのほうが最終回に近いせいか、もう並んでないみたいだけどね。
感想ですが、初めて日本の歴史物を読んだせいか、世界観にかなり違和感があります。生まれや身分に翻弄される子供と、見栄と世間体ばかり気にしている大人達。滑稽な世界ですが、これが日本人のベースになっているのか思う反面、思い当たるふしを感じて納得しました。他に違和感を感じたのは、武士が厳格で義理深い存在になったのはこの時代よりもっと後のようで、この頃の武士は得する陣営にころころ寝返ったり。また、夜這いをやられたら泣き寝入りとか、逆に血筋目当てで女性の方からやってきたりとか、いい唄を詠めばモテたりとか・・・。上巻はこんなのばかりだったけど、大河ドラマは大丈夫だったのかしら。おそらく、ドラマは下巻からスタートだったんでしょうけどね。
義経は子供のまま大人になったような人で、生まれや身分を重視して、逆に世間体とか気にしない性格のようです。そのせいで誤解されて同じ源氏に追われるわけですが・・。義経が強かった理由は、大人の常識や暗黙のルールにとらわれず、我が道を突き進み続けたため。また、当時の武士は個人で勝手に戦っていたけれども、義経は軍団として戦ったので強かったようです。今じゃ常識だけど、当時の日本は1人で大軍に突っ込んでいったりとか、見栄と名誉のためなら無茶してたらしい。
ストーリーは義経という破天荒な人間が居たというもの。話は普通だけど、昔の日本の滑稽さを知ることができるので、ルーツを知る上でおすすめです。でも、話はやっぱ中国のがおもしろいわ。